とうこつえんいたんこっせつ
橈骨遠位端骨折は、自転車やバイクに乗っていて交通事故により転倒した際などに、手をついた衝撃で前腕の橈骨が手首に近い部分(遠位端)で折れる骨折です。診断はX線(レントゲン)撮影によって行われ、骨折の状態によってはCT検査が追加されることもあります。骨折片の整復後にズレがなければギプスによる固定が行われますが、ズレが再発する場合や整復が困難な場合には手術が必要となります。手術法としては、創外固定法、プレート固定法(特にロッキングプレート)などがあります。骨折の治癒後も、手関節の可動域制限、変形治癒による正中神経の圧迫障害(いわゆる外傷後の手根管症候群)などが残ることがあります。
実例 後遺障害等級変更 併合14級→併合12級
自転車乗車中に交通事故により転倒し、橈骨遠位端骨折の傷害を負い、手関節に痛みの症状が残存していました。この手関節の痛みに対しては、14級9号(他の障害と併合して併合14級)が認定されていました。当事務所で治療記録を精査したところ、骨折線が橈骨手根関節の関節面に及んでいましたが、治療中に手関節部のCTが撮影されておらず、関節面の不整の有無が確認できない状況でした。そのため、被害者に対してCT撮影を指示いたしました。その結果、関節面の不整が認められたことから、「局部に頑固な神経症状があるもの」として異議申立てを行い、12級13号への等級変更が認められました。他の障害と併合して、併合12級に認定されました。(担当・弁護士中島)