てのしゅうじょうこつこっせつ
手の舟状骨骨折とは、手首にある8つの手根骨のひとつで、親指の付け根(いわゆる「解剖学的嗅ぎタバコ入れ」)に位置する舟状骨という小さな骨が折れる外傷のことを指します。この骨折は、交通事故などで転倒し、手のひらを地面についた際(手関節の背屈位)に強い力が加わることで生じることが多いです。舟状骨は血流が乏しく、骨癒合が得られにくいため、偽関節となることもあります。また、事故以前に気づかないうちに骨折していたケースもあり、新鮮骨折か陳旧骨折かが争点となることもあります。舟状骨骨折では、通常は手関節の可動域制限を起こさないとされていますが、内固定術後の長期固定に伴う関節拘縮などの原因により、可動域制限の後遺障害が認定された事例も存在します(実例1)。
実例1 後遺障害等級認定10級10号
バイク乗用中に四輪車の左折に巻き込まれて転倒した際、手の舟状骨を骨折し、ハーバートスクリューによる観血的整復固定術が施行されました。術後には著しい可動域制限が残存したことから、10級10号の後遺障害が認定されました。