シーアールピーエス
CRPS(複合性局所疼痛症候群)とは、外傷や手術などを契機として発症し、組織損傷の程度や通常の治癒過程からは説明しがたい強い持続痛を中心に、感覚異常、自律神経症状、運動障害、栄養障害などを呈する病態の総称です。厚生労働省研究班によって医療機関向けの判定指標が作成されていますが、これは治療方針の決定や専門医療機関への紹介判断に用いることを目的としたものであり、補償や訴訟においてCRPS該当性や後遺障害の有無・程度を判断するために使用すべきものではないとされています。
そのため、交通事故に伴う損害賠償実務における自賠責保険の後遺障害認定では、臨床診断とは別に、関節拘縮、骨萎縮、皮膚の変化などの客観的所見が重視されます。結果として、主治医がCRPSと診断していても、保険実務上はCRPSとして認定されないことがあり、ここがしばしば争点となります(実例1)。
実例1 後遺障害等級変更 14級9号→9級10号
バイク走行中に車線変更してきた四輪車との接触を避けるために転倒し、足関節外果骨折を負いました。その後、患部に強い灼熱痛が残存し、主治医からはCRPSと診断されました。もっとも、当初申請時には、自賠責保険のCRPS認定基準で要件とされているサーモグラフィー検査については、検査機器がすでに製造中止となっており実施できなかったため、CRPSとしては認定されず、疼痛について14級9号の認定にとどまりました。
しかし、異議申立てにおいて、症状の継続性・一貫性や他の医学的資料を踏まえて症状実態を詳細に主張立証した結果、最終的にCRPSが認定され、9級10号への等級変更に成功しました。(担当 弁護士 中島賢二郎)