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急性硬膜下血腫とは

急性硬膜下血腫とは

きゅうせいこうまくかっけっしゅ

 急性硬膜下血腫とは、交通事故などの頭部外傷により、脳と硬膜との間に血液がたまり、脳を圧迫する状態を指します。血腫は脳の表面に沿って広がる傾向があります。受傷直後から意識障害や麻痺が出現することもあれば、数時間かけて症状が急速に悪化する場合もあります。診断にはCT検査が用いられ、三日月状の高吸収域が典型所見とされています。治療としては、血腫による脳の圧迫が強い場合には、緊急の開頭手術により血腫を除去する必要があります。軽症であれば、入院下での経過観察や保存的治療が選択されることもあります。急性硬膜下血腫が生じるような重度の外傷では、開頭手術により血腫を除去しても、受傷時に受けたエネルギーが大きいため脳自体が損傷していることが多く、重篤な脳挫傷やびまん性軸索損傷を合併していることが少なくありません。その結果、高次脳機能障害や運動障害といった後遺障害が生じることがあります。この点が、手術後の予後が比較的良好とされる慢性硬膜下血腫との大きな違いです。

実例1 後遺障害等級認定 2級1号
 横断歩道を歩行中に四輪車にはねられた交通事故により頭部外傷を負い、急性硬膜下血腫等を発症しました。事故直後から意識障害が認められ、救急搬送先の病院において頭蓋内血腫の増大が確認されたため、頭蓋内血腫除去術および減圧開頭術が施行されました。その後、注意障害、空間認知能力の低下、記憶障害、脱抑制、遂行機能障害等の症状が残存し、画像上も脳挫傷痕が認められる状態であったことから、日常生活に著しい支障が生じているものとして、高次脳機能障害および身体性機能障害が認定され、後遺障害等級2級1号の認定を受けました。本件では、脳外科手術後の段階から高次脳機能障害の発生可能性についてご家族に説明し、その協力を得ながら、日常生活上の具体的な支障や行動上の問題点が適切に後遺障害認定へ反映されるよう対応を行いました。(担当 栄町法律事務所 弁護士 中島賢二郎)

弁護士コメント
 脳外傷により急性硬膜下血腫を受傷した場合、特に血腫が増大して減圧開頭術が必要となったケースでは、脳実質にも強い外力が加わっていることが多く、高次脳機能障害が問題となることが予測されます。一般の方には分かりにくいのですが、脳神経外科医の主な役割は、頭蓋内血腫による脳の圧迫を解除し、脳実質のさらなる損傷や生命の危険を防ぐために、血腫除去術や減圧開頭術などの外科的治療を行うことにあります。そのため、救命や急性期治療が終了した後の高次脳機能障害の評価やリハビリテーションについては、リハビリテーション科、脳神経内科が中心となって対応することも少なくありません。その後、体制の整った医療機関であれば、リハビリテーション診療科へ移行し、神経心理学的検査やリハビリテーションを受けることができます。しかし、そのような診療体制が十分に整っていない場合や、脳神経外科での経過観察のみで治療が終了しているようなケースでは、高次脳機能障害の存在や程度を適切に把握できないことがあります。そのため、自賠責保険における後遺障害認定を見据え、必要な検査の実施や日常生活状況の記録、家族からの聴取などを通じて、高次脳機能障害の存在およびその程度を適切に立証するための工夫が重要となります。

<文責:栄町法律事務所 弁護士 中島賢二郎>