こつばんこっせつ
骨盤骨折とは、交通事故などによって強い外力が骨盤に加わることで、骨盤を構成する骨のいずれかが骨折する損傷を指します。骨盤骨折は、「寛骨臼骨折」と「骨盤輪骨折」に分類されます。寛骨臼骨折は、骨盤側で股関節を構成する関節窩（寛骨臼）が骨折するものです。一方、骨盤輪骨折は、骨盤の環状構造を形成する部分の骨折を指します。診断にはまずX線検査（レントゲン）が用いられますが、骨盤は複雑な形状をしているため、骨折の詳細な位置や形態の評価にはCTが用いられます。寛骨臼骨折は、骨折がずれたまま癒合してしまうと、将来的に変形性関節症が進行し、人工関節の置換が必要となることがあります。
実例 後遺障害等級変更 併合１１級→併合９級（寛骨臼骨折の事案）
バイク乗用中の交通事故により、骨盤（寛骨臼）を骨折しました。これにより股関節に可動域制限が残り、自賠責保険において12級7号が認定され、他の障害と併合して併合11級と認定されました。加害者側に対して訴訟を提起し、裁判上の和解によって解決する運びとなりましたが、将来的に変形性関節症の進行が予測されたため、人工関節に置換された場合には別途賠償を協議する旨の留保条項を付した和解文言としました。その後、実際に人工関節の置換が必要となったため、再度後遺障害の認定を求めた結果、人工関節置換後の著しい機能障害により10級11号が認定され、他の障害と併合して併合9級と認定されました。