だいたいこつけいぶこっせつ
大腿骨頚部骨折とは、太ももの骨である大腿骨の上端部分、股関節に近い「頚部」と呼ばれる箇所が折れる骨折を指します。この骨折は、股関節の関節包内で発生する(狭義の)頚部骨折と、関節包外で発生する転子部骨折に区別されます。大腿骨頚部は、交通事故などによる転倒や転落の際に外力が集中しやすく、骨折しやすい部位です。主な症状としては、患側の股関節部の疼痛や圧痛があり、立ち上がったり歩いたりすることが困難になります。また、骨折した側の脚が短くなったり、つま先が外を向く外旋位変形が見られることもあります。(狭義の)頚部骨折は関節内で生じるため、大腿骨頭への血流が途絶えやすく、骨癒合が困難になることがあります。進行すると、骨頭壊死を引き起こす場合もあり、このような場合には人工骨頭置換術が選択されます。一方、転子部骨折は関節包外骨折であり、血流が比較的保たれやすいため、内固定術が選択されることが多いとされています。
実例 後遺障害等級認定 10級11号
歩行中に自動車と接触する交通事故により、(狭義の)大腿骨頚部を骨折しました。被害者が高齢であったため、速やかに人工骨頭挿入術が施行され、著しい股関節の可動域制限が残存したことから、後遺障害等級10級11号に認定されました。(担当・弁護士中島)