わんしんけいそうそんしょう
腕神経叢損傷とは、第5頚神経根(C5)から第8頚神経根(C8)および第1胸神経根(T1)を主な起始とし、網の目のように複雑に分岐・合流して、肩甲帯から上肢にかけての運動機能および感覚機能をつかさどる神経の束である「腕神経叢」が、交通事故などの高エネルギー外傷に伴う牽引、圧迫、裂離等によって損傷を受けた状態を指します。診断にあたっては、筋力低下、感覚障害、腱反射異常などの神経学的所見の確認に加え、筋電図検査や神経伝導検査による機能評価、さらにMRI等の画像検査による神経根引き抜き損傷の有無の確認などが行われ、これらの所見を総合して判断されます(実例1)。
実例1 後遺障害等級認定 併合9級
四輪車に同乗中、対向車がセンターラインを越えてきたことにより正面衝突事故に遭い、肩甲骨、鎖骨および第3腰椎を骨折し、腕神経叢損傷と診断されました。神経移行術が施行されましたが、上腕のしびれや痛み、筋力低下といった自覚症状に加え、肩関節の可動域制限が残存しました。画像所見、筋電図検査結果等の医証に基づき、本件事故による腕神経叢損傷が認められ、これに伴う肩関節の可動域制限については10級10号と認定されました。さらに、他の障害と併合して併合9級が認定されています。(担当 弁護士 中島賢二郎)