むち打ち損傷(むちうちそんしょう)とは
むち打ち損傷とは、主に自動車の追突事故等に伴い、急激に前方へ推進された車体とともに体幹も前方へ移動し、その際、比較的重い頭部を支持する頚部が鞭様にしなることにより過伸展・過屈曲を生じて発症する、頚椎部の軟部組織(筋・筋膜・靱帯・椎間関節包・椎間板など)の損傷を指します。なお、骨折や脱臼などは含まれません。症状としては、頚部痛や頚部のこり、頭痛、肩背部痛のほか、めまい、耳鳴り、吐き気など自律神経系の異常を伴うことがあります。事故当日は無症状であっても、翌日以降に症状が出現・増悪することがあります。ただし、数日以上の期間が経過してから症状が現れた場合には、事故との因果関係が否認される可能性があります。診断は、画像検査により頚椎の骨折や脱臼を除外した上で行われます。また、脊椎や椎間板に変性が認められる場合には、むち打ち損傷と変性疾患が合併し、神経症状を伴う後遺障害が残存する可能性もあります。