けんばんだんれつ
腱板断裂とは、肩関節の安定性を維持し、上肢の挙上や外旋といった運動機能に重要な役割を果たす筋腱複合体である「腱板」が、部分的または完全に断裂した状態を指します。腱板断裂の発症要因としては、加齢に伴う腱の変性(退行性変化)が主な原因とされており、中高年齢層に多く認められます。また、交通事故による転倒などの外傷や、重量物の持ち上げ動作に伴う急激な負荷によっても生じることがあります。主な症状としては、肩関節部の疼痛(特に夜間や運動時の痛み)や、肩関節の可動域制限が挙げられます。診断にあたっては、臨床症状の評価に加えて、MRIによる画像診断が不可欠となります。また、腱板損傷が交通事故と因果関係を有するかどうかは、後に保険実務上の争点となることがあります。そのため、受傷直後に撮影されたMRI画像において、腱付近の血腫や浮腫などの急性期所見が確認できれば、医学的因果関係を立証する上で極めて重要な資料となります。
実例1 後遺障害等級認定 12級6号
四輪車乗車中、合流地点において激しい側面衝突事故に遭い、肩腱板不全断裂および関節唇損傷の傷害を負いました。これに対し、関節鏡下肩関節授動術、肩腱板縫合術および肩関節唇縫合術が施行されましたが、肩関節の可動域制限、疼痛および筋力低下が残存したため、後遺障害等級12級6号が認定されました。本件では、当初の医療機関において肩腱板不全断裂が見落とされ、MRI検査も施行されていませんでしたが、その後、肩の専門医に主治医を交替し、同医師の意見等に基づいて当該傷病と本件事故との因果関係が認められるに至った事例です。(担当弁護士 中島賢二郎)
<文責:弁護士 中島賢二郎>