頚髄損傷(けいずいそんしょう)とは
頚髄損傷とは、首の骨(頚椎)の内部を通って脳と身体各部をつなぐ、重要な中枢神経である脊髄が損傷を受けた状態を指します。脊髄が頚部で損傷されると、損傷部位より下にある神経が支配する四肢すべてに、重大な障害(麻痺、感覚の消失、膀胱直腸障害など)が生じることがあります。頚髄損傷の主な原因としては、交通事故などの外傷が挙げられます。これには、骨折や脱臼を伴う場合と、伴わない場合があり、後者は「中心性頚髄損傷」と呼ばれます。頚髄損傷は、完全損傷と不完全損傷に分類されます。完全損傷では、脊髄の機能が永久に失われます。骨折や脱臼を伴う頚髄損傷は、その多くが完全損傷に該当します。一方、不完全損傷の場合は、徐々に回復が見込まれることが多く、麻痺の回復は通常、下肢から上肢へと進行します。診断には、神経学的評価やMRIなどの画像検査が用いられます。