ぜんじゅうじじんたい(エーシーエル)そんしょう
前十字靭帯損傷とは、膝関節の中にある「前十字靭帯(ACL)」と呼ばれる靭帯が、切れたり伸びたりして損傷するケガのことをいいます。前十字靭帯は、膝関節の中心部に位置し、後十字靭帯・内側側副靱帯・外側側副靱帯とともに、大腿骨と脛骨をつなぐ役割を担っています。この靭帯は、後十字靭帯とともに、膝の前後方向のズレやねじれを防ぎ、膝関節を安定させるうえで非常に重要な構造です。この靭帯が損傷する主な原因としては、自転車やバイク乗車中あるいは歩行中の交通事故により、路面に転倒するなどして膝に強い衝撃が加わるケースなどが挙げられます(実例1)。受傷初期には、膝の痛みや出血による腫脹が見られ、時間の経過後は、膝がぐらつくような不安定感などの症状が見られます。診断には、医師による徒手検査のほか、ストレスX線検査やMRI検査によって靭帯の状態を確認することが一般的です。
実例1 後遺障害等級変更成功 非該当→12級13号
歩行中に自動車と衝突して路面に転倒した事故で、内側側副靭帯および前十字靭帯損傷による歩行時の痛みが残存しましたが、後遺障害認定においては「常時疼痛を残すものではない」とされ、非該当とされました。資料を精査したところ、損傷自体についてはMRIによる画像所見が認められましたので、治療記録やご本人の現状を綿密に調査し、疼痛の状況に関する資料を追加して異議申立を行った結果、12級13号が認定されました。
担当 弁護士 安東直哉