てぃーえふしーしーそんしょう
TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)とは、三角線維軟骨、関節円板、橈尺靱帯、尺側側副靱帯などの複数の軟部組織から構成される「三角線維軟骨複合体(TFCC)」が、外傷性あるいは加齢に伴う変性などにより損傷を受けた状態を指します。TFCCは手関節の尺側に位置し、橈尺関節および手根関節の安定性を保つとともに、尺骨と手根骨の間で衝撃を吸収する役割を担っています。TFCC損傷は手外科の専門的な領域であるため、非専門医による診察では見落とされることも少なくありません。TFCC損傷の原因としては、交通事故による転倒時に手をついて受傷するケースなどが挙げられます。主な症状としては、手関節尺側部の痛み、特に回内・回外運動時に誘発される痛みが特徴的です。診断においては、理学的所見に加え、MRIや関節造影などの画像診断が有用です。典型的な症状がみられる患者様には、確定診断のために必要な検査を受けていただくようご案内しています。症状の遷延が認められる場合には、後遺障害等級認定を視野に入れた適切な対応が求められます。必要に応じて、手外科を専門とする医療機関をご紹介することも検討しています。
実例 後遺障害認定 12級13号
バイク乗車中の交通事故により受傷し、手関節の痛みを訴えておられました。主治医はTFCC損傷の可能性を疑っていましたが、確定診断には至らなかったため、当事務所から手の専門外科をご案内いたしました。そこで実施されたMRI(T2強調画像)においてTFCC付着部に高輝度所見が認められ、TFCC損傷との確定診断を受けました。その結果、12級13号の後遺障害認定を受けることができました。(担当・弁護士中島)